【声明】「教育・福祉に関わる心理職の雇用形態の改善を求める~東京都公立学校スクールカウンセラー不再任問題をうけて~」

2024 年 3 月 18 日
一般社団法人日本臨床発達心理士会

「教育・福祉に関わる心理職の雇用形態の改善を求める 
~東京都公立学校スクールカウンセラー不再任問題をうけて~」

 東京都教育委員会が東京都で任用されたスクールカウンセラー(以下,SC)を大量に「雇止め」をしたことが明らかになりました。それに伴う学校現場での戸惑いや,心理職・SCの怒りの声も耳にするところです。
 臨床発達心理士は,SCの任用資格としては挙げられていませんが,臨床発達心理士会の会員の多くがSCであったり,それに準ずるものとして学校現場で児童・生徒の相談業務に携わっています。今回の事態は,他人ごととして見逃すことはできない重大な出来事として重く受け止め,この声明を出します。
 臨床発達心理士は生涯にわたる発達支援に関わる資格です。SCに限らず,教育・福祉領域で多くの有資格者が支援に関わっていますが,国及び地方公共団体で働く心理士の多くは「会計年度任用職員」として雇われています。今般の不再任問題は東京都だけの問題とは言えず,どこでもこうした不安定な雇用形態による問題が生じる可能性があります。とりわけ,臨床発達心理士の支援対象である子どもについて,発達支援にはある程度の時間が必要であり,保護者を含めての児童・生徒,教職員との信頼関係の構築のうえに支援を行うことが非常に重要です。それが,突然の「雇止め」のためにせっかく築き上げた関係性が断ち切られるのであれば,子どもたちに与えられる影響は計り知れません。
 「会計年度任用職員」は基本的に 1 年限りの雇用であり、その身分は1年しか保障されていません。子どもたちが継続的に必要な支援を受けて発達していくためにも,SCを含めて教育・福祉に関わる心理職の雇用形態について,条件を整えて常勤として雇用するかたちにしていただけくよう,国及び地方公共団体に強く求めるものです。