日本臨床発達心理士会とは

 一般社団法人日本臨床発達心理士会(以下、本会)は、一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構(以下、機構)によって資格認定された「臨床発達心理士」が集まってできている団体です。臨床発達心理士は発達心理学会などの学会連合が2001年に「臨床発達心理士認定運営機構」を作って資格認定を開始し、2003年にはその有資格者によって「日本臨床発達心理士会」が設立されました。2022年11月18日に法人登記を行い、2023年4月1日より一般社団法人として本格的に活動を始めます。4月から5月にかけて支部総会を開催し、代議員を選出します。6月25日には設立社員総会を開催し、各支部から選出された代議員によって役員を決定いたしました。一般社団法人日本臨床発達心理会として新たな歴史の1ページを、会員の皆様とご一緒に開いて行きましょう。

 本会は、機構とは独立した法人になりましたので、これまで「日本臨床発達心理士会」会員であった方が自動的に移行するわけではありません。会員登録(入会)ページより、会員登録をしていただきますよう、お願いいたします。

臨床発達心理士とは、特に「発達」の問題に強い心理資格です。その中でも、生態学的・包括的アセスメントを起点として、一人一人の人の一生涯にわたって、そのライフステージに応じた支援が行えるよう、日々研鑽を深めている人たちの集まりです。特に他の心理資格と異なる強みを別欄に掲げました。

臨床発達心理士の強み

支援対象者の発達を見据えた支援

・周産期を含み、乳幼児期、学童期、思春期、青年期~老年期と、生涯にわたる発達を支援できる

  • 移行期支援:子どもの進級や卒業、就労、転居、結婚、妊娠・出産、退職など、次のステージでの目標や課題、必要な配慮を見通した支援ができる。
  • 他職種や市民とつながることができる。人材が多様で連携に熱心である。
  • 自助できるような発達の支援 (そのための現在の状況や特性の精査・解明・解決法の相談)
  • 親子を中心とした関係性改善の支援(子どもだけでなく親も支援)
  • 問題が生じて救済の訴えがあってからではなく、予防臨床的な生活方法の提案と講習が可能
  • 具体的な障害として、学習障害を含む発達障害、愛着障害などの理解は豊富で、支援対応を得意とする。
◎子どもの心理についての知識に基づいた支援
  • 子どもの立場や視点に立って、子どもの気持ちの代弁者となれる。
  • 子どもたちに、学校等で生活しやすい対人関係のあり方を指導できる。
  • 医療的ケアが必要な子ども等、非定型的な生活環境の子どもの発達臨床支援も今後拡充していく。

発達支援とは、子どもが大人になる過程のみならず、一生涯において人がその時々において変化・発展をとげていく全過程であると捉えています。そのすべてに、一人一人に応じてその時々の発達支援をしていくというのが、臨床発達心理士の役割です。

例えば、発達支援センター、学校、幼稚園、保育所、発達支援事業所、児童相談所、病院、福祉事業所、保健所、介護施設、自立支援施設、大学等の相談室、等、様々な場所で仕事をしています。また、相談・支援施設を自営している会員もあります。また、各職場では、発達心理学に基づく発達支援に強い職員として、各職場のその分野のリーダー的役割を果たしている会員も多く存在しています。大学教員である会員は、後進の育成や発達的な研究を日夜進めています。

また、これまで

  • 東京都教育委員会からの委託で、特別支援教室への巡回心理士となる
  • 最高裁判所からの委託で、ハーグ条約に基づく子の引き渡し強制施行に伴って子どもたちの心身の安全・安定を図るための「執行補助者」となる
  • 「いじめ問題重大事案についての第三者委員会」の委員となる
  • スクールカウンセラーとなる(現行規定では「準ずる者」という範疇になりますが)

などの業務を行っています。

一般社団法人となった日本臨床発達心理士会は、従来通りの資格更新のための研修会の開催に加えて、これらの業務のような幅広い「支援を必要としている方への支援」を行うことを支援していく組織となっていくことを指向しています。

  1. 会員の心理士としての雇用を守り、さらなる地位向上を求める支援が職能団体として可能になります。
  2. 教育委員会等、自治体行政機関を含む他の団体との交渉や契約が可能となり、他団体からの支部等への依頼に対する委員の推薦や支部等が協力する事業契約に法人としての認定が可能となります。
  3. 臨床発達心理士資格取得を目指す方を「準会員」としてうけいれ、その資格取得を支援します。
  4. 公認心理師協会等、他の心理士団体との協力関係を従来よりも推進しやすくなります。
  5. これまで煩雑であった支部会計や支部事業の承認プロセスが簡素化され、職能団体として承認されやすくなり、支部活動の迅速性や主体性が促進されます。
  6. 職能団体の法人として、資格認定機構である従来の法人と対等な協力体制をとることで次のような事業をできないかも検討していきたいと思います。

①これまでの資格取得要件により取得が困難であったが心理士としての知識や技能を求めていた保育士等を含む子ども支援者に研修や資格取得支援を行なう事業

②発達支援の特定分野について専門的技能をもつ専門士を法人として認定する事業

③研修において心理学的知識や技能のみならず心理士として働くために必要な法的知識を含む、より幅広い内容での研修による資格更新ポイントの発行を機構に働きかける。

更新ポイントについて

更新ポイントは、研修会に参加されましたら、その参加記録に基づきまして、士会事務局より機構にポイントの申請を行います。各個人で申請して頂く必要はありません。

また、各自のポイントは従来通り、機構のホームページの資格更新ページの「ポイント照会」や、「マイページ」から確認していただくことができます。研修会実施後3ヶ月以内に確認していただき、ポイントが付与されていない場合は、機構の事務局にお問い合わせください。